『アニメージュ』とアニメ誌戦国時代【新保信長】 連載「体験的雑誌クロニクル」19冊目
新保信長「体験的雑誌クロニクル」19冊目
その後、大学生になってからも『アニメージュ』『OUT』『アニメック』の3誌は、毎号ではないが特集によっては買っていた。しかし、それも1986年頃まででストップ。なぜ買わなくなったかというと、1987年4月から社会人となり、アニメ(というかテレビ自体)を見る時間がなくなったからだ。見なければ知識も興味も薄れていくわけで、私のアニメ歴は1986年公開の『天空の城ラピュタ』で、ほぼ止まっている(その後も劇場アニメはちょこちょこ見てはいるけれど)。
奇しくも、私のアニメ離れと歩調を合わせるかのように、『マイアニメ』が1986年7月号、『ジ・アニメ』が1987年1月号、『アニメック』が1987年2月号で休刊している。『OUT』も1995年5月号で休刊した。私が買わなくなったせいではあるまいが、アニメファンの世代交代とニーズの変化に、うまく適応できなかったのかもしれない。
結局、現在生き残っているアニメ誌は、『アニメージュ』『アニメディア』と1985年創刊の『ニュータイプ』(KADOKAWA)の3誌である(美少女アニメ専門誌などマニア系の雑誌はいくつかあるらしいが、よく知らない)。しかし、今『名探偵コナン』や『鬼滅の刃』を見ようと劇場に詰めかけている人たちの多くは、アニメ誌など読まないのではないか。
つまり、マニアではない層が普通にアニメを見るようになったからこそ、興収ランキングのほとんどをアニメが占めるという現象が生まれたわけで、かつてヤマトやガンダムがブームになったときとは状況が違う。アニメ誌でスタッフインタビューなどを読んで知識を仕入れ、ガラガラの映画館で『ルパン三世 カリオストロの城』を11回見た元アニメマニアとしては、いささか複雑な気分ではある。
文:新保信長